映画「ショーシャンクの空に」あらすじと感想【不朽の名作】【後半ネタバレあり】

こんにちは、ラッコです。

今回は、Netflixにて配信中の「ショーシャンクの空に（原題：The Shawshank Redemption）」を鑑賞しました！

スティーブン・キング原作の小説を元に、フランク・ダラボンが監督を勤めた本作。誰もが一度は名前を見聞きしたことがあるんじゃないかというぐらい有名な不朽の名作です。

人気のある作品というのは知っていながらも、わたしは一度も観たことがなく今回が初鑑賞。
今もなお廃れず名作と言われ続け、たくさんの人に愛されている理由が観てみてよくわかりました・・・

それでは早速ご紹介していきます！

作品概要

題名	ショーシャンクの空に(原題：The Shawshank Redemption)
公開年	1994年
監督・原作	フランク・ダラボン（監督）、スティーヴン・キング（原作）
キャスト	ティム・ロビンス（主人公/アンドリュー・デュフレーン） モーガン・フリーマン（調達屋の囚人/エリス・ボイド・“レッド”・レディング） ボブ・ガントン（刑務所長/サミュエル・ノートン） クランシー・ブラウン（主任刑務官/バイロン・ハドリー） ギル・ベローズ（青年の囚人/トミー・ウィリアムズ） ジェームズ・ホイットモア（図書係の老囚人/ブルックス・ヘイトレン） ウィリアム・サドラー（囚人仲間/ヘイウッド） マーク・ロルストン（囚人の暴行集団のリーダー/ボグズ・ダイアモンド）
公式サイト	映画『ショーシャンクの空に』Netflix公式サイト

あらすじ

敏腕銀行員のアンドリュー・デュフレーン（アンディ）は、妻とその愛人を殺害した罪に問われ、冤罪にも関わらず終身刑の判決を受ける。

服役のため、アンディーは”ショーシャンク刑務所”に収監されるが、そこは劣悪な環境だった。

刑務官による理不尽な暴力は日常茶飯事で、囚人の中には欲求不満が行き過ぎて周りの目を盗み暴行を加える集団が存在し、目をつけられたアンディは抵抗しながらも怪我の絶えない日々を送る。

しかし、腐敗した刑務所の中でもアンディは希望を捨てず前向きに生き続ける。

最初は孤立していたアンディだったが、刑務官の遺産相続に関する悩みを持ち前の知識で解決し、その報酬として囚人たちにビールを振る舞わせたことをきっかけに、次第に周囲から一目置かれる存在となっていく。

感想・考察

これから鑑賞される方へ（ネタバレなし）

「不朽の名作」ということで期待の元に鑑賞しましたが、その期待を上回る感動でした。

観終わった後の興奮がすごい。
映画の中で何十年と月日が流れていくので、本当に主人公アンディの半生を見届けたような気分になります。

本作の舞台は1947年のアメリカ。
戦後とはいえかなり昔のお話ではありますが、舞台が刑務所ということもあり携帯などの時代の違いが明瞭なものがほとんど登場しないので、そこまで違和感なく観ることができました。

公開当初の反応

こちらの映画、実は公開当時はヒットせず、興行収入は奮わなかったようです。アカデミー賞の７部門にエントリーされるも受賞は叶わず、当初は散々な結果だったとか。

しかし、興行的に伸びなかったおかげで低コストでテレビ放映ができたため、次第に多くの人の元に届くようになり、そういった人たちの“口コミ”で知名度を上げていったそう。

個人的に、鑑賞後に誰かと感想を共有したくなる映画ベスト３には入るので、口コミで広がったというのはすごく納得しました。

アンディが収容されたのは最悪な刑務所

主人公は銀行の若き副頭取であるアンディ。

彼は、妻とその愛人のゴルファーを射殺した罪で刑事告訴されます。

アンディは無実を訴えましたが、証拠が不十分にも関わらず終身刑にされてしまいます。

収監されたショーシャンク刑務所は最悪も最悪な環境。

いじめや買収は日常茶飯事で、同性へ性的暴行を繰り返す集団がいたり、刑務所内の”調達屋”から麻薬を仕入れる奴がいたり・・・

そして問題は受刑者たちだけではありません。
刑務官からの行き過ぎた暴力も目に余ること余ること。

「消灯後にうるさくした」というだけで刑務官から暴行を受けた新人受刑者は、運が悪いことに当日医者が不在にしていたため、翌日には命を失ってしまいます。

人権なんぞないも同然で、かなり酷い仕打ちに観ていて心が痛みます。

アンディとレッドの絆

そんな環境で、最初は誰とも仲良くなろうとせず孤立していたアンディでしたが、趣味である石彫に使う小さなロックハンマーを手に入れるため、古株である”調達屋”のレッドに話しかけます。

以降、アンディは次第にレッドと息を通わせるようになり、他の受刑者たちとも関係性を築いていきます。

レッドがすごく頼もしくて、アンディと仲良くなってくれたときには個人的にとても安心しました。

アンディの強くて芯がある性格

アンディは銀行の副頭取だっただけあって、とても頭がよく、精神的にもタフな人間です。

刑務所内では、誰も未来に希望を持っておらず、のうのうと刑期を務めている人たちがほとんどな中で、アンディただひとりだけは違いました。

彼の、そこでの生活を甘んじて受け入れるだけでなく、自分なりにやりたいことを見つけ、淡々と着実に成果を出していく姿はすごく印象に残ります。

ただ、作中でレッドも言っていたように、アンディは胸の内を誰かに話すことがあまりないため、何を考えているのかが読み取りにくかったです。

優しい人柄は垣間見えるものの、あまり踏み込み過ぎないといった、独特の間の取り方がありました。
ただ、それもそれで彼の魅力なのだろうなと思います。

最初から最後まで、満遍なく痛々しいシーンがあり、そういった点では観るのがしんどい描写もありましたが、それでも最後には「観てよかった！」と言えるような結末が待っていました。
まだ鑑賞したことがない方にはとてもおすすめします！

ここからネタバレあり ※未鑑賞の方は注意

最初から最後まで無駄なシーンが一切ない、素晴らしい映画でした。

アンディの思惑

アンディの聡明さには本当に脱帽です。

つい応援したくなる非常に主人公らしい主人公で、アンディという人物像がすごく作り込まれている分、人間的にすごく厚みがありました。

持ち前のお金の知識を使って自身の環境を変えていく姿はもちろん、どこからどこまでが計算だったのかが分からない最後の脱走劇まで、全てに圧倒されます。すごすぎ。

ラスト30分の怒涛の巻き返しは、今後何度観ても興奮と感動でドキドキしてしまうと思います。

すべてのシーンにさまざまな意味が込められていて一個一個を深掘りすると膨大な文量になる予感がするので、ここからは個人的に印象に残ったシーンについて感想を書いていきます！

刑務所を改善するアンディの行動力

他の囚人たちがただ淡々と与えられた仕事をこなし、刑務所のルールに従って生きている中、アンディはどこか違う行動を取っていきます。
それは意図的というより、自然とそうしてしまう――自分の心に正直に動いているような印象でした。

やがてアンディは、その行動力で誰もが恐れるハドリー主任刑務官の相続問題を解決し、刑務官たちから一目置かれる存在に。
その見返りとして、作業中の囚人仲間にビールを振る舞うよう刑務官に要求するという、こちらがヒヤッとするほど大胆な交渉を持ちかけます。
そして驚くことに、その願いは受け入れられるのです。
この出来事をきっかけに、アンディは仲間たちとの距離を縮め、少しずつ信頼関係を築いていきました。

この出来事をきっかけに、アンディは銀行員としての知識を買われ、名ばかりの“図書係”に任命されます。
図書室に腰を据えた彼は、その豊富な知識を活かし、刑務官たちのお金の悩みに耳を傾けては、次々と解決していきました。

やがてアンディの相談窓口は大評判に。翌年にはなんと、所長を含めた刑務官全員の所得申告を、彼ひとりが引き受けるまでになります。

そしてアンディは、この窓口だけでなく、本来の意味での”図書係”としても力を発揮します。

「本を増やしたい」というこちらの要望に応えてくれない州議会に対し、アンディはちっとも諦めずに、なんと週１で6年間も手紙を送り続けたのです。

最後は州議会が根負けし、予算とともに大量の中古図書が送られてきます。

これにより、ショーシャンク刑務所には立派な図書室が新設され、たくさんの囚人がやってくるようになりました。

こうしてショーシャンク刑務所に貢献しながら、少しずつ環境を良くしていったアンディ。
でも、本当にすごいのは、その行動に小賢しい計算や、相手に取り入ろうという下心がまったくないことです。
ただ純粋に、困っている人を自分にできる範囲で助けたい、という善意だけで動いているのです。

刑務所という過酷な環境でも良心を失わず、澄んだ心を保ち続けられる。
アンディは、それだけ強い芯と根っからの優しさを併せ持った人間なんだと感じました。

ブルックスの出所が意味すること

ブルックスは、1905年に入所して以来、約50年もの間ショーシャンク刑務所で暮らしてきた古参のおじいさんです。
人の良さそうな雰囲気で、拾った鳥の雛を服のポケットで大切に育てるなど、動物好きな一面もあります。

これまで一人で図書係を務めていましたが、アンディが助手として加わったことで、二人の間に交流が生まれます。

そんなアンディが図書係になって1年以上経った頃、ブルックスが突然、別の囚人の首元にナイフを突きつけるという衝撃的な事件を起こします。
幸い、アンディやレッドたち仲間の説得で大事には至りませんでしたが、その行動の理由は、仮釈放が決まり、外に出るのが怖くてたまらなかったからでした。

仮釈放と聞くと喜ばしいことのように思えますが、ブルックスにとっては違いました。
50年という長い時間を刑務所で過ごした彼にとって、外の世界はすっかり変わり果てた、恐ろしく不安な場所になっていたのです。

外に出たら元服役囚として白い目で見られることは確実で、誰も知り合いもいない中、ひとりで生きていかなければなりません。

仮釈放委員会の斡旋で住まいと仕事を得て、ついに出所したブルックス。
しかし、職場ではうまく馴染めず、悪夢にうなされて眠れない日々が続きます。

刑務所の外には頼れる人もおらず、未来への希望も見いだせなくなった彼は、最後に、自ら命を絶つ道を選びました。

社会に復帰しようと自分なりに努力したものの、何ひとつ変えることはできなかった。
アンディのように希望を持ち続け、辛く理不尽な環境を乗り越えていく強さを、ブルックスは持てなかったのです。

ブルックスは首を吊る直前、「BROOKS WAS HERE（ブルックスはここにありき）」という文字を、家の柱に刻み残しました。

それは、社会とつながれなかった彼が、自分がこの世界に確かに存在していた証として残せる、唯一の方法だったのかもしれません。

もちろん、罪を犯し服役していた身である以上、この結末は自業自得とも言えます。
それでも、もしあのまま刑務所で寿命を迎えていたら、仲間たちに見守られ、もう少し穏やかな気持ちで人生を終えられたのではないか。そんな想像をせずにはいられない場面でした。

その手紙を通じて、レッドとアンディは彼の死を知ることになります。
それが「自分と同じ結末を迎えてほしくない」という仲間への思いやりだったのか、それとも別の感情だったのか――真意はわかりません。

ブルックスという存在は、アンディの生き方とは対照的で、希望を持ち続けることの難しさを痛感させてくれる人物でした。

トミーの存在

アンディが収監されて1８年が経ったころ、もみあげが印象的なトミーというロックンロール好きの青年がやってきます。

盗みをしては捕まってを繰り返す、妻子のある生意気な若者で、ショーシャンク刑務所での刑期は2年。なんとなく憎めないキャラで、徐々にレッドたちと打ち解けていきます。

「家族を守るために自分を変えたい」と考えていたトミーは、刑期中に高卒の資格を取るために、アンディから勉強を教えてもらうことになりました。

勉強を続けるうちにその面白さを知ったトミー。

そんなトミーの姿を見て喜んだアンディは、熱心にいろいろなことを指導します。

ここでの二人の姿は、「仲のいい先生と生徒」のようで、この映画の中では貴重な、すごくほっこりするシーンです。

あるときトミーは、自分の先生をしてくれるほどの人格者であるアンディが、一体どんな罪を起こしたのかが気になり、レッドに尋ねます。
「アンディは妻と愛人のゴルフプロを射殺したのだ」と聞いたとき、トミーは突然、なにか心当たりがあるかのような表情をしました。

アンディとレッドが詳しく話を聞くと、なんとトミーは、以前自身が入所していた刑務所で、アンディが冤罪とされた事件の真犯人かもしれない人物と出会ったというのです。

この話を聞いたアンディは、すぐにノートン所長のもとへ向かいます。

彼は、「もし真犯人から何か証拠が見つかれば再審請求ができる」「釈放のチャンスだ」と所長を説得しようとしますが、所長は「そんな話は作り話だ」と一蹴します。

これまで所長は、自分の身を守ることばかりで、囚人を人とも思わない振る舞いを見せていましたが、このシーンは特に最悪でした。

お金の面で何度もアンディに助けてもらっているにも関わらず、全く取り合おうとしない姿から、所長がアンディをただの便利な囚人としか見ていないのだと強く感じさせられました。

ただ、ノートン所長の人となりを考えると、冤罪を主張したところで信じてもらえるはずがないのは明らかでした。
だからこそ、なぜアンディがわざわざ所長に話しに行ったのかは謎でもありました。

もしかすると、真実を知ったうえで、このまま何もせずに刑務所で過ごすよりは、少しでも希望がある方へ進もうと決心したのかもしれません。

しかし、この場でアンディは所長の癇に障る発言をしてしまい、その結果、なんと一ヶ月もの間、懲罰房に入れられることになります。
この一ヶ月という期間はショーシャンク刑務所史上、前代未聞の長さでした。

アンディが懲罰房に入れられている間にも、嬉しい出来事がありました。

トミーが高卒認定試験に見事合格したのです。

食事を届けに来た刑務官からその知らせを聞いたアンディは、無表情ながらもどこか穏やかで優しい雰囲気を漂わせていました。

しかし問題はこの後です。

個人的に、この映画で最も悲しく、見返すのも辛いぐらい心を抉られたシーンでした・・・

後日、ノートン所長は夜間に掃除中のトミーを呼び出します。刑務所の外へつながる柵の近くへ案内され、少し不審に思うトミー。

そこで待っていた所長は、まるでアンディの冤罪を証明するために協力を求めるかのような態度で、「アンディにした真犯人の話は本当か？」と問いかけます。

自分がこの話をアンディに伝えたことで、彼が懲罰房に入れられたことに負い目を感じていたトミーは、アンディを慕う気持ちもあり、所長の言葉を信じて正直に「真実です」と答えました。

しかし、それは巧妙な罠だったのです。

所長のお金の管理を任されていたアンディは、彼の裏金の存在も知っていました。
アンディが釈放されれば、その裏金のことが外部に漏れてしまう可能性があります。

所長の私利私欲のために、真犯人を知る唯一の手がかりであるトミーは、この後、ハドリー刑務官によって射殺されてしまうのです。

表向きは「脱獄を企てたために射殺された」と処理されましたが、きっとアンディやレッドは真実を見抜いていたことでしょう。

腐りきった刑務所内の実態がすごくよくわかるシーンで、かなり胸糞が悪いです。

ラストの怒涛の展開

ここまで作品を観てきて、アンディはとても賢く、それでいてまっすぐで、思いやりのある心優しい人間だということが分かりました。

だからこそ、そんな人格者であるアンディのラスト怒涛の脱走劇にはとても驚かされました。

アンディのような素晴らしい人が、このまま刑務所で消耗され続けて終わるわけがない、とは思っていたので、何かきっかけがあって仮釈放になるのではと踏んでいましたが、まさか自ら脱走するとはびっくりでした。

角部屋だったアンディは、ポスターを貼っていた裏の壁を小さなロックハンマーで掘り続け、約19年の間脱獄できるチャンスを狙っていたのです。

そしてある日の消灯後、自らが掘った穴を通り抜け、川に繋がる下水管を辿って見事に脱出しました。

ただ脱出するだけでなく、その後の生活も全て計画された上での脱獄だったので、刑務所内でのアンディの行動は、どこからが計算でどこからが自然ととったものだったのか、あれこれ考えてしまいますよね。

わたしとしては、今まで取ってきた行動が全て計算だったわけではなく、アンディ自身がその時々で積み重ねてきたことが、最終的に脱獄の助けになったのではないかと考えます。

ノートン所長のそばでお金の管理を任されていたおかげで、スーツや革靴など脱獄後の服装一式を簡単に盗み出すことができました。
そして、ノートン所長の裏金を隠す手伝いで架空の人物の口座にお金を入れていたおかげで、アンディは脱獄後にその裏金を全額引き出し、生活資金を得ることができました。

アンディがここまで目の前のやるべきことに向き合い、コツコツ地道に信頼を得ていたことが、自身の脱獄を後押ししてくれたのだろうと思います。

この脱獄は、アンディがこれまで持ち続けてきた「希望」は決して無駄ではなかったという証明になりました。

そして、自分の脱走だけでは終わらないあたりが、やはりアンディの素晴らしいところだなと思います。

アンディは脱獄と同時に、ノートン所長の裏帳簿や、ハドリー刑務官による暴行・殺人の事実を刑務所の外に持ち出していました。
そして、すべてを新聞社にリークしたことで、ハドリー刑務官は警察に連行され、所長は捕まる前に自殺をしました。

このリークのおかげで、アンディはもう二度とノートン所長に執着されなくて済むとともに、ショーシャンク刑務所に残された受刑者たちの今後の安全も確保することができたのです。

アンディらしいよく考え込まれた脱走計画で、見事に周囲を出し抜いて成功させていて、観ていてすごく気持ちがすっきりしました。

まとめ

今回は、不朽の名作「ショーシャンクの空に」をご紹介しました！

世間の評価通り素晴らしい作品で、人間が生きていく上で大切にすべきことや希望を持ち続けることの尊さが見事に表現されていました。

原題「The Shawshank Redemption」の「Redemption」は、直訳すると「贖罪・救済・弁済・（約束の）履行」という意味があるようです。

作中、聖書の一説がところどころで引用される等、キリスト教を意識したつくりになっている本作。

そんなキリスト教の文脈では、「Redemption」は「贖罪・救済」という意味で使われることが多いとか。
その辺りも意識しながら観るとより楽しめるかもしれません。

今生きているうちに鑑賞できてよかった！と思えるとてもいい映画でした。
まだ観たことがない方には、ぜひ一度は観ていただきたい作品です。