こんにちは、ラッコです。
今回は映画『グリーンブック』を鑑賞しました!
2019年のアカデミー賞で作品賞を受賞した作品で、黒人ピアニストのドクと、彼の運転手を務めるイタリア系白人のトニーが、アメリカ南部を旅する物語です。
笑いあり、心温まる交流あり、そして当時のアメリカが抱えていた人種差別という社会的なテーマも丁寧に描かれています。
人種差別を題材にしていると聞くと少し重たそうな印象を受けるかもしれませんが、この作品は最後までとても見やすく、幅広い人におすすめできる一本でした!
「グリーンブック」は実話?
『グリーンブック』は、実話をもとにした映画です。
1962年、黒人ピアニストのドン・シャーリーが、白人の運転手トニー・リップとともにアメリカ南部を巡ったコンサートツアーが物語のもとになっています。
ただし、映画で描かれている出来事がすべて事実というわけではなく、実際の出来事をもとに脚色された部分もあります。
そのため、実話をもとにした作品ではありますが、映画の内容をすべて史実として受け取るのではなく、実際の出来事を土台にした物語として観るのがよさそうです。
「グリーンブック」はこんな映画
泣ける度 ★★★★☆
見やすさ ★★★★★
重さ ★★★★☆
人種差別という重いテーマを扱っていますが、二人のユーモラスなやり取りも多く、ずっと暗い雰囲気が続く作品ではありません。
差別の理不尽さを描きながら、二人の関係が変化していく過程も楽しめる映画です。
・心に残るヒューマンドラマが観たい方
・実話をもとにした映画が好きな方
・人種差別などの社会的なテーマを扱った映画を観たい方
作品詳細
| 題名 | グリーンブック(原題:GREEN BOOK) |
| 公開年 | 2018年 |
| 監督 | ピーター・ファレリー |
| キャスト | ヴィゴ・モーテンセン(トニー・ヴァレロンガ) マハーシャラ・アリ(ドクター・ドナルド・シャーリー) リンダ・カーデリーニ(ドロレス・ヴァレロンガ) |
| 公式サイト | 映画『グリーンブック』公式サイト |
あらすじ
1962年のアメリカ。
ナイトクラブで用心棒として働くトニー・リップは、店の改装による休業で職を失ってしまいます。そんな中、世界的な黒人ピアニスト、ドクター・シャーリーから南部への演奏ツアーに同行する運転手兼ボディーガードの仕事を依頼されます。
性格も育ってきた環境もまったく異なる二人は、黒人旅行者向けのガイドブック「グリーンブック」を頼りに旅をスタートします。旅先では人種差別という厳しい現実に直面しながらも、少しずつ互いを理解し、かけがえのない友情を育んでいきます。
感想・考察
これから鑑賞される方へ(ネタバレなし)
正反対の二人が織りなすロードムービーが面白い
主人公のトニーと、雇い主であるピアニストのドクは、価値観も性格も正反対です。
トニーは大雑把でテキトー、言葉遣いも荒く感覚で生きているようなタイプ。
一方のドクは、几帳面で真面目。さらに、自分が黒人であるがゆえに、人と一線を引いて生きているような印象を受けました。
おまけに、トニーは黒人に対して差別意識を持っています。そんな二人が2か月も一緒に旅をするとなると、最初は険悪な関係になりそうだと感じました。
しかし、実際に旅が始まると、二人の性格の違いが思わぬ笑いを生み出します。
トニーの大雑把でおしゃべりなところに、几帳面なドクが振り回される場面もあり、テンポの良い掛け合いが楽しめます。
最初はぎこちなかった二人の会話も、旅を続けるうちに少しずつ変化していきます。正反対だからこそ生まれるやり取りが、本作の面白さの一つだと感じました。
「グリーンブック」は重い?人種差別を扱いながらも見やすい理由
本作は、人種差別という重いテーマを扱っています。
こう聞くと、「重くて辛い映画なのかな?」と思うかもしれませんが、映画全体が重たい雰囲気というわけではありません。
しかし、本作は人種差別という題材を説教くさく描くのではなく、ユーモアを交えながら伝えているのが特徴です。
当時のアメリカ社会で黒人がどのような扱いを受けていたのかがしっかり描かれている一方で、暗い雰囲気ばかりにならないよう工夫されているのが印象的でした。
人種差別をテーマにしているからといって重たいだけの映画ではなく、笑いあり、心温まる場面も多いため、最後まで観やすい作品でした。
旅を通して変化していくトニーとドクの関係
2ヶ月の旅を通して、二人はお互いに影響を与え合い、それぞれが少しずつ変化していきます。
トニーは、ドクと過ごすうちに、彼を「黒人」という一括りではなく、一人の人間として見るようになっていったように感じました。
ドクの演奏を聴いて尊敬し、孤独を抱える姿を知ることで少しずつ接し方も変わり、ドクが理不尽な差別を受けたときに怒りを見せる姿からも、価値観の変化が感じられました。
一方のドクも、最初はトニーの大雑把で粗暴な性格を良く思っていませんでしたが、一緒に過ごす中で、次第にトニーを信頼し、本音を話すようになっていきます。
トニーがドクへの理解を深めていくだけでなく、ドクもトニーと過ごすことで少しずつ変わっていく。
どちらかが一方的に変わるのではなく、二人ともが相手に影響を受けながら変化していくところが、本作の大きな魅力だと感じました。
「グリーンブック」は感動する?心に残るヒューマンドラマ
本作は実話をもとにした作品だからこそ、描かれる出来事に重みがあり、映画として楽しめるだけでなく、当時の時代背景についても考えさせられます。
人種差別という重いテーマを扱いながらも、トニーとドクのやり取りには笑える場面や心温まる場面が多く、最後まで飽きることなく楽しめました。
二人が旅を通して少しずつお互いを理解していく姿も印象的で、観終わった後は温かい気持ちになれるだけでなく、「相手を知ること」の大切さについても改めて考えさせられる作品です。
人種差別をテーマにした作品を観たことがない方にも、ぜひおすすめしたい一本でした!
ここからネタバレあり ※未鑑賞の方はご注意
「グリーンブック」が持つ意味とは?
映画のタイトルにもなっている「グリーンブック」とは、当時のアメリカで実際に存在した”黒人旅行者向けガイドブック”のことです。
作中でも旅の最初にトニーへ手渡され、ここに掲載されている黒人でも泊まれるホテルを利用しながら、ドクは南部を巡ることになります。
グリーンブックは、差別が色濃く残っていた当時のアメリカ南部で、黒人が安全に旅をするためには欠かせないものでした。しかし、そもそも人種差別がなければ存在する必要のない本だと考えると、少し悲しい気持ちになります。
黒人旅行者の安全を守るために作られた本とは言いつつも、その存在は、”黒人が自由に旅をすることさえ制限されていた時代があったこと”を物語っています。
お金や地位のあるドクでさえ、黒人だからという理由で自由に泊まる場所や食事をする場所を選べませんでした。
映画のタイトルとしての「グリーンブック」は、単なるガイドブックのことを指しているのではなく、当時の時代背景や、黒人が置かれていた厳しい現実を象徴するタイトルなのだと感じました。
ドクター・シャーリーが抱えていた孤独とは?
ドクは黒人でありながら、一流のピアニストとして成功を収め、お金や地位を手に入れた人物です。
しかし、成功しているからといって、差別から自由になれるわけではありません。
白人社会では黒人という理由で差別される一方、黒人社会の人々とも、育ってきた環境や立場の違いから距離があるように描かれ、どこにも居場所がない孤独な存在とされています。
旅の途中で農場で働く黒人たちの前を通りかかった際、彼らがドクへ向ける視線が印象に残っています。
どこか「あんたは自分たちとは違う」という距離を感じさせる眼差しで、彼らがドクをどう見ているのか、考えさせられる場面でした。
黒人でありながら自分たちとは異なる世界で生きるドクは、同じ黒人の中でも特異な存在だったことがうかがえました。
一方で、白人社会でもドクは対等に扱われません。
コンサート会場では通常のトイレを使わせてもらえず、屋外の粗末なトイレを使うよう言われますが、ドクはそれを拒否してモーテルまで戻ります。
どれだけ成功し、地位を築いても、黒人であるという理由だけで対等に扱われない現実と、それでも人としての尊厳を守ろうとするドクの強い意志が伝わる場面でした。
また、ドクは同性愛者でもありました。トニーとの約束を破って一人で外出し、白人男性とシャワールームにいたところを警察に勾留されるシーンから、そのことが明らかになります。
トニーから約束を破った理由を問われたときの「今夜は知られたくなかった」というドクの発言は、自分の性的指向をトニーに知られたくなかった、という意味だと考えられます。
頭のいいらっここのシーンに出てくるYMCAは宿泊施設やジムとして利用される一方、当時は一部で同性愛者の男性が出会ったり交流したりする場所にもなっていたみたい
「黒人でもなく、白人でもなく、男でもない。だったら私は何なんだ?」
このセリフには、誰にも理解されず、居場所を見つけられないドクの孤独が詰まっていたように感じました。
もし差別や偏見のない社会だったなら、ドクはここまで孤独を抱えずに済んだのではないかと思うと、とても切なくなります。
トニーは旅を通してどう変わったのか?
旅の始まりでは、トニーも当時の多くのアメリカ人と同じように、黒人に対して偏見を持っていました。
自宅を訪れた黒人業者が使ったグラスを捨てたり、ドクの荷物を運ぶことを嫌がったりと、「黒人とは距離を置きたい」という考えがさりげなく描かれています。
しかし、ドクと長い時間を共にする中で、トニーの考え方は少しずつ変わっていきます。
ドクが孤独を抱えながら生きている姿や、どれだけ才能や地位があっても差別を受け続ける現実を間近で見ることで、彼はドクを「黒人」という一括りではなく、一人の人間として理解するようになっていきました。
特に印象的なのが、ドクがレストランで演奏を拒否する場面です。
演奏することを望まれながら、食事をすることは許されない。
トニーは、せっかくの演奏の機会を失うことになっても、依頼人からの賄賂も受け取らず、ドクの意思を尊重しました。
旅の始まりでは自分の価値観を当たり前のように受け入れていたトニーが、最後にはドクの立場や気持ちを理解し、その選択を支えるようになったことに、大きな変化を感じました。
ケンタッキー・フライドチキンのシーンが印象的な理由
旅の途中、トニーがドクにケンタッキー・フライドチキンを勧めるシーンがあります。
トニーが豪快に手づかみでチキンを食べる姿を見て、最初の嫌悪感を示していたドクですが、勧められるまま食べてみると、次第にその味を気に入っていきます。
さらに、トニーが骨を車の外へ放り投げると、ドクも楽しそうに真似をします。
この場面は、いつも品格や教養を大切にしてきたドクが、少しだけ肩の力を抜き、トニーと同じ目線で時間を楽しめるようになった瞬間だったように感じました。
ただ、その後トニーが調子に乗って紙コップまで窓の外へ捨てると、ドクはしっかり回収させます(笑)
トニーの影響を受けながらも、ダメなことはダメだとしっかり注意するあたりが、いかにもドクらしいと感じました。
このやり取りにはユーモアがあり、二人の距離が縮まっていく様子が伝わる、とても好きなシーンです。
ドロレスへの手紙が表す二人の変化
家を2か月空けるトニーは、妻のドロレスから「手紙を書いてほしい」と頼まれ、旅の途中で定期的に手紙を書くことになります。
トニーの手紙は気持ちは伝わるものの、文章はどこか拙く、誤字脱字も多かったようです。
見かねたドクは「私の言う通りに書いて」と手紙を書くのを手伝います。
すると、それまでとは打って変わって、詩のようなロマンチックな手紙が出来上がります。
普段は何かと口げんかをしている二人ですが、この場面ではトニーが素直にドクの言葉を書き写しているのが少し面白く、思わず笑ってしまいました。
旅の終盤では、トニーはドクの力を借りずに一人で手紙を書き上げます。
「いい手紙だ」と褒めるドクと、「手伝ってくれてありがとう」と返すトニー。
最初はドクに手伝ってもらっていたトニーが、自分の言葉で気持ちを伝えられるようになったことにも、旅を通しての変化が表れているように感じました。
二人の距離が縮まったことが伝わるだけでなく、この手紙のやり取りがあったからこそ、ラストでドロレスが手紙について語る場面も、より心に残るものになっています。
ラストシーンに込められた二人の友情
旅を終えた二人は、無事クリスマスの夜にそれぞれの家へ戻ります。
トニーは家族や親戚が待つ自宅へ帰り、「家族に会っていけよ」とドクを誘います。
しかし、ドクは「メリー・クリスマス」とだけ言い残し、一人で自宅へ帰っていきます。
ところがその後、お酒を持ったドクがトニーの家を訪れます。
旅の途中でトニーは、孤独を抱えるドクに「寂しい時は自分から先に手を打たなきゃ」と助言していました。
自分から一歩を踏み出したドクの姿を見て、トニーの言葉が、ちゃんとドクの心に残っていたのだと感じました。
そんなドクを見て喜び、抱きしめるトニー。
この2か月の旅で築かれた二人の友情が伝わってくる、とても感動的なシーンです。
人種隔離が色濃く残る時代に、黒人と白人が対等な立場で友情を育むことは、決して当たり前のことではありませんでした。
偏見を持っていたトニーと、常に差別を受けてきたドクが、ここまで信頼し合える関係を築いたことは、わたしたちが思う以上に特別なことだったのだと思います。
だからこそ、黒人のドクが白人であるトニーの家族とクリスマスを過ごすというこのシーンは、単なるハッピーエンド以上の意味を持っているように感じました。
そして、ドロレスともあいさつを交わしたドク。
抱擁を交わしたあと、ドロレスはドクの耳元で「手紙をありがとう」と伝えます。
突然ロマンチックになったトニーの手紙を読んで、ドロレスはドクが手伝っていたことに気づいていたのです。
手紙を通じて実は繋がっていたドクとドロレス。ドクも少し照れくさそうでありながら、どこか嬉しそうな表情を浮かべます。
旅の中で描かれてきた二人の友情だけでなく、手紙を通じたドクとドロレスのつながりまで感じられる、温かいラストだったと思います。
ラッコの評価
おもしろさ ★★★★☆
ストーリー・設定 ★★★★★
キャラクター ★★★★☆
おすすめ度 ★★★★☆
トニーとドクが旅を通してお互いを理解し、少しずつ関係を深めていくところがとてもよかったです。 特にトニーが、ドクを「黒人」という括りではなく、一人の人間として接するようになっていく姿が印象に残りました。
また、トニーがドクの意思を尊重するようになり、ドクも少しずつトニーに心を開いていくなど、二人が互いに影響を与えながら変化していく姿にも引き込まれました。 人種差別という重いテーマを扱いながらも、二人のやり取りにはユーモアがあり、最後まで楽しめる作品でした。
まとめ
今回は映画『グリーンブック』を鑑賞しました!
人種差別という重いテーマを扱いながらも、ユーモアや心温まるやり取りが多く、最後まで楽しみながら観られる作品でした。
トニーとドクがお互いを理解し、少しずつ変わっていく姿はとても魅力的で、観終わった後には温かい気持ちになると同時に、「相手を知ること」の大切さについても考えさせられます。
まだ観たことがない方はもちろん、一度観たことがある方も、二人の関係性や旅を通しての変化に注目しながら、ぜひもう一度鑑賞してみてはいかがでしょうか!










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